2006 年のトリノオリンピックのおかげで世界に名を知られるようになったピエモンテ州は、食通や人生を謳歌する人々にも愛されてきました。ランゲ、アスティ、モ ンフェラートにまたがって広がる丘陵地帯は食の中心で、代表的な特産物は、秋から冬の始めにかけて特に伝統的なパスタ料理に使われるアルバの白トリュフで す。赤ワインではバローロ、バルバレスコはもちろん、アスティのモスカート、バルベーラ、ドルチェット、ブラケットなどが有名で、白ワインとしてはガヴィ やロエロがあります。世界中のワインの専門家たちにとっては聞けばすぐ分かる名前ばかりです。そしてワインといえばチーズ。ブラ、ラスケラ、ムラッツァー ノ、ロビオラなどが有名なチーズの産地です。丘陵地帯は現在ユネスコの世界遺産登録を申請しています。この地域はスローフード発祥の地であり、スローフー ド食科学大学やICIF(外国人のためのイタリア料理研究機関)があり、またワイン街道では、かつての城や貴族の館の一部を利用したエレガントなエノテカ にも出会えます。ぜひ数あるワイン醸造所や、温かくもてなしてくれる農場や、グルメなレストランを巡って、素晴らしい料理を堪能して下さい。数十種類の前 菜の中にはピエモンテ牛の高級部位を使った生肉のたたきもありますが、この肉は栄養面の上で世界でも最高の評価を得ています。手作りのプリン(ラヴィオリ の一種)やトリュフ入りパスタやリゾット、バーニャカウダやブラサート(バローロで煮込んだ牛肉)は代表的なピエモンテ料理。デザートにはマロングラッセ やジャンドゥイオッティ・チョコレートをどうぞ。これらは、数多くの優秀なピエモンテ出身のシェフ達のお陰で世界中に広まった素晴らしい料理の、ほんの数 例です。このような食の王国にあっては、一年中ありとあらゆる食材の祭りや催しが、至る所で開かれています。春にアルバで開かれる“Vinum”はこの地 方を訪れるワイン観光客にとって最大の催しで、ランゲやロエロ地区だけでなくイタリア全土から250もの生産者が参加し、世界中から買い付けバイヤーも やって来ます。秋にはアスティで“Douja d’Or”というイタリアワインの品評会があり、品評会が終わると町の中心のアルフィエリ広場ではパーリオ(競馬レース)が行われます。チーズについて は、2年に1回ブラで”Cheese”が、スローフード協会主催で開かれ、世界中のチーズが集まります。そして最後にトリュフ祭。アルバで行われ (2009年は10月3日から11月8日)、世界中からアルバの白トリュフを求めてやってくる食通の間で競売でその最高潮を迎えます。