山岳部 – Montagne

雪 に包まれた山頂、急峻な崖、深い谷、峠道やトンネル……。「山の麓」という意味を持つピエモンテという名前そのものが、この州の地理を物語っています。マ リッティマ・アルプスからモンテ・ローザまで、州都トリノを中心とする地域を取り囲むアルプス山脈の長さは400km以上に及んでいます。2006年のト リノ冬季オリンピックが行われたのが、まさにこの地域でした。スーザ、サンゴーネ、ピネロレーゼ、キソーネ、ガルマナスカ、ペリチェと連なる峡谷が形成す る「白い銀河」には、総延長600kmに及ぶゲレンデと91のリフトがあり、プラジェラート、サン・シカーリオ、チェザーナ、セストリエールといったス キー場は、息を呑むような景観の中を滑り下る感動をもたらしてくれます。トリノ五輪で男子スラロームの会場となったセストリエールのジョヴァンニ・アルベ ルト・アニエッリなどは、夜になると美しい照明に彩られてあたかもスタジアムのような華やかさです。景観の多彩さは、この地域で経験できるアクティビティ の多様性と結びついています。初級者から上級者までが楽しめるスキーはもちろん、犬ぞりでのエクスカーション、氷壁のクライミング、フリーライディング、 ヘリスキー、クロスカントリーといった様々な種目と、この地域に点在する数多くのスパやウェルネスセンターを組み合わせれば、豊かな休日を送れることは間 違いありません。コッレ・デル・リス、ウッセリオ、ピアン・デッラ・ムッサという美しい山々に抱かれた静謐なランツォ峡谷は、「悪魔の橋」と呼ばれる大胆 なゴシック様式のアーチで知られています。スノーボードやフリーライドのフリークなら、トリノ五輪の会場となったバルドネッキアにあるスノーパーク、そし て翌年行われた冬季ユニバーシアードの会場となった多くのコースを、ぜひとも訪れてください。
「白い銀河」に囲まれたトリノ県は、四季を通じて守り育むべき豊かな自然環境の宝庫です。カナヴェーゼ地区の高地に広がるグラン・パラディーソ国立公園に はありのままの自然が息づいています。ヴァルセシア、ドッソラ峡谷では、トレッキングやマウンテンバイクをはじめ、カヌー、カヤックでの川下り、そしてパ ラグライダーやハンググライダーまで、様々なスポーツアクティビティが楽しめます。それだけではなく、オルシエーラ山の山腹に3kmに渡って続くフェネス トレッレ城壁、1713年まで仏領ドーフィネ地方の境界線だったエグジル城塞など、歴史・芸術遺産の豊かさも魅力のひとつ。ミラウレやメレゼ(彫刻専門学 校で知られています)にある、美しいフレスコ画で飾られた礼拝堂も見逃せません。標高3158mに位置するシャベルトン城塞は、ヨーロッパで最も高いとこ ろにある城。標高ではそれに及びませんが、歴史的・芸術的意義においては引けを取らないのが、スーザ峡谷やピネローロ地域にある85の城塞と30の塔で す。これらすべては、州都トリノからほんの少しの距離に位置しています。


歴 史的なスキーの場所としてモンヴィーゾの裏手にヴァライータ渓谷があります;キアナーレでは、ルゼルナ石の石屋根、特徴のある家並みの古い村に足を踏み入 れることが出来ます。さらにフランスの国境に近い、カナヴェーゼとランツォ渓谷では、城、聖地、ぶどう畑、森など旅のルートには事欠きません。モンテ・ ローザに支配されるバルセージアでは、アルプスに移住したドイツ人、ヴァルサー民族の末裔に出会えます。
村や城や要塞にいたっては数えきれないほどです。要塞化した砦は州内の丘陵地帯に点在していますが、国境を守るための建築物の中で有名なのは、万里の長城 に次いで長い城壁を持つフェネストレッレの要塞と、エグジル要塞の難攻不落の砦でしょう。修道院や聖地では、才能あふれる様々な芸術家や建築家たちが、後 にピエモンテ州の大いなる遺産のシンボルとなるような作品を生み出しました。スーザ渓谷のフランチジェーナ街道はその一例ですし、ピルキリアーノ山の切り 立った崖の上に築かれた、千年の歴史を誇るサクラ・サン・ミケーレは、ピエモンテ州のシンボルにもなっている傑作です。
ピエモンテの山:ワインとグルメ

ピエモンテ山岳地方の食文化は、伝統に強く結びついています。そのうちの代表的なものを御紹介しましょう。
まずはチーズから:ヴァル・ペッリチェでは、サラス・デル・フェンSARAS DEL FEN。 干し草に包んで熟成させた円形のリコッタチーズで牛、ヒツジ、ヤギのミルクを混合してつくります。 デザートとして、ブルーベリーやサンブーコ、ハチミツなどをつけて食べたり、パスタと合えたりして食べます。

ヴァル・サンゴーネでは、チェブリン・ディ・コアッツェCEVRIN DI COAZZE 香り高くヘーゼルナッツの味がする柔らかくクリーミーなチーズです。牛とヤギの混合ミルクからでき、チェブリンとよばれる直径18cm以下の型に入れて作ります。ヴァッリ・ディ・ランツォには、牛のミルクを熟成してつくるトーマ・ディ・ランツォTOMA DI LANZOというとてもおいしいチーズがあります。

ハ ム、ソーセージ関係では、アルタ・ヴァル・ディ・スーザの生ハムがあり、伝統的な山の特産物です。レシピは変わっていて、まず豚の腿肉から骨を取り、コ ショウ、細かくきざんだ草、白ワインのなかに20日間漬け込みます。その後、肉を乾かし塩をつけ豚の腸でしっかりと包みます。一定期間放置した後、ワイン で洗い15から16ヶ月熟成させます。草の芳香、コショウとワインの香り高いハムです。

ヴァル・ペッリチェの特産物は、ムスタルデッラMUSTARDELAです。サラミの一種で、豚を屠殺後血液をとり、様々な部分(頭、舌、肺など)のひき肉と混ぜます。そして塩、胡椒した後豚の腸に詰め、少し茹でます。薄く切ってパンと食べたり、茹でてじゃがいものピューレやポレンタとともに食べます。

お酒としては、ジェネピGENEPI が挙げられます。何種類かのアルテミジアまたはジェネピーと呼ばれる現在保護対象となっている植物をアルコールにつけてつくります。この植物は、花崗岩と氷河のモレーンの間で育ちます。
ハチミツの生産も盛んです。山の長い伝統に基づくこの産物は、昔ながらの方法で花の種類によってアカシア、菩提樹、栗、山の花ミックス、シャクナゲがあります。

お菓子として、甘いグリッシーニ、トルチェッティ・ディ・ランツォTORCETTO DI LANZO があります。表面を薄くカラメル加工し、しずくの形に曲げます。

この地域のワインは、多種でそれぞれに特徴がありどれが一番おいしいかを特定するのは難しいです。カナベーゼ地域には、この土地で収穫される白ぶどう品種エルバルーチェからできるエルバルーチェ・ディ・カルーゾErbaluce di Calusoがあります。辛口の白ワインで少し苦味があります。同じ品種からできるカルーゾ・パッシートCaluso Passitoは、ビロードのような舌触りの甘口のワイン、カルーゾ・スプマンテCaluso Spumanteは、フルーツの香りが高い発泡ワインです。赤ワインカレーマCaremaは、ネッビオーロ種からつくるまろやかながらボディがしっかりしたワインです。カナベーゼ地域では、白、赤、ロゼ、バルベーラ、ネッビオーロワインをつくっています。
トリノ周辺の丘には、甘口の赤ワインで風味のよいマルヴァージアMalvasiaとアルコール度が低く甘口で飲み口のよいカーリCariがあります。

スポーツ

クライミング
ピエモンテ州におけるロッククライミングの流行は、1970年代にまで遡ります。それ以来、山岳地帯の至るところでクライミングのルートが開拓されてきま した。これらのルートは今日、あらゆる種類のクライミングの可能性をもたらしてくれます。石灰岩、珪岩、蛇紋岩、片麻岩など様々な岩壁の地質から、直壁、 二面壁、クレバス、オーバーハングといった壁面のタイプまで、選択肢にはまったく事欠くことがありません。クライミングのメッカと言える場所としては、タ ナロ峡谷のモンジョイエ、キソーネ峡谷のヴァローネ・ディ・ブルセ、オルコ峡谷のヴァローネ・ディ・フォルツォ、ヴェルバーノのモッタローネなどを挙げる ことができます。
スポーツとして自転車を楽しむ方には、クーネオ県にある“チャンピオン坂”と“ジーロ・ディ・イタリアのアルプス道”がお勧めで、タイム・トライアルをし たり、往年の偉大なチャンピオンとパーフォーマンスを比べたりすることも可能です。また、ヴァル・スーザとヴァル・キゾーネの二つの谷に挟まれた、伝説の “コッレ・フィネストレ”の頂上からは、歴史に富む数々の素晴らしい丘を遠くに眺められます。
さらに、イヴレアからパヴィアまでのフランチジェーナ街道、ビエッラには250㎞にもなるルートの地図や標識がちゃんとそろっていて、バイクトライアルやマウンテンバイクが楽しめるヴァルセジアもお薦めです。
オリンピック会場となった山々なら、トリノアルプスのアルプス・バイク・リゾートがマウンテンバイクファンにとってぴったりの施設でしょう。ここには、フ リーバイクやダウンヒル、ノースショアのコースがあり、新しいアップヒルコースやスキルパーク、ダートエリアも揃っています。さらに、マウンテンバイクの レッスンを受けることもできますし、子供用のジュニアパークもあります。クーネオ県にあるプラート・バイクランドは、冬のプラート・ネヴォーゾのスキー場 が夏は自転車王国に変わるという面白いところで、アップヒルコースもたくさんあり、また、夜間照明がある唯一の施設です。
もっとスリルのあるウォータースポーツがお好みなら、ヴァルセシア(ヴェルチェッリ県)やストゥラ峡谷(クネオ県)にあるカヤックやハイドロスピードによ る川下りのコース、あるいは自分の足で川の流れを遡り、それ以外の方法では到達することすらできない渓谷や滝を探訪するキャニオニング(沢登り)がお勧め です。

カヤック、ハイドロスピード、ラフティング
岩山に穿たれた狭い渓谷、川の緩やかな流れを突如切り裂く急流。ピエモンテ・アルプスは山から流れ落ちる川や沢の宝庫であり、スピードと冒険を愛する人々 にスリル満点のコースを提供します。ラフティングやカヤックによる川下り、ハイドロスピードを楽しむならば、そのメッカといえるのがストゥラ峡谷(クネオ 県)、スーザ峡谷(トリノ県)、ヴァルセシア(ヴェルチェッリ県)、オッソラ峡谷(ヴェルバニア県)。スクールやインストラクターがサポートしてくれると ころもあるので、初心者でも安心です。
クネオ県にある16世紀の荘厳なペシオ修道院と、その周囲に広がるアルタ・ヴァッレ・ペシオ・エ・タナロ自然公園。ここでは、穏やかな自然の中で存分にマス釣りを楽しむことができます。
1993年に、ビエッラの郊外で国内初のバンジーセンターが生まれました。このセンターはジャンプの地点が高いことで有名で、イタリア全国のジャンプ好きにとって聖地となっています。

ハンググライダーとパラグライダー
アルプス山脈近くの素晴らしい上昇気流と雄大な景色は、上昇飛行が好きな方にとってはたまらない魅力です。オリンピック会場となった山々からランツォ渓 谷、またビエッラ県からクーネオ県の山々には、この現代の“レオナルド・ダ・ヴィンチ型飛行機”に乗って、夢のような飛行体験ができる所がたくさんありま す。そして、これらのクラブや学校の多くは初心者も受け入れています。

スノーボード
スノーボーダーにとってピエモンテは理想の環境です。ボード専用のスノーパークの充実度は特筆できるレベルにあります。バルドネッキアはトリノオリンピッ クの会場となり、アラーニャはヨーロッパ中のフリーライディング愛好家にとって聖地のひとつ。プラート・ネヴォーゾでは、ジュニアクラスの世界選手権が開 催されることになっています。

スキー
「白い銀河」から「スキーヤー天国」まで、ピエモンテの冬山を表現する言葉は少なくありません。ピエモンテでスキーをすることは、無垢の自然の中に作られ た50を超えるスキー場の総延長1300kmにも及ぶゲレンデを駆け抜けることを意味しています。初心者からプロスキーヤーまで、まったく飽きる心配はあ りません。それどころか、照明設備を整えているゲレンデも少なくないため、昼だけでなく夜になっても星の下で存分にスキーを楽しむことが可能なのです。

ノルディック/クロスカントリースキー
ノルディックやクロスカントリーに関しても、ピエモンテ州は初心者から上級者まで誰にとっても非常に幅広い選択肢を用意しています。手つかずの自然が広が る森や台地を縫うように走るコースからは、モンヴィーゾ、モンテ・アルジェンテーラといった3000m級の山頂を、圧倒的な静けさの中で望むことができま す。ノルディックスキーのメッカといえば、世界的な名選手ステファニア・ベルモンドを生んだストゥラ峡谷、そしてトリノオリンピックの会場となったキソー ネ峡谷のプラジェラートです。

ウェルネス

テルメ・ディ・ヴィナーディオ
古代ローマからその名が知られていたヴィナーディオの温泉センターは、豊かな自然と文化遺産に恵まれた環境の中にあります。センターで行われているセラ ピーは、水浴、ミスト、フィジオセラピー、吸入、飲用、水平シャワー、マッサージ、泥などバラエティに富んでいます。源泉の成分は呼吸器疾患、一部の皮膚 病、慢性の金属中毒、関節炎
、循環器疾患、婦人科系疾患などに効能があるとされています。

テルメ・レアーレ・ディ・ヴァルディエーリ
テルメ・レアーレ・ディ・ヴァルディエーリは、16 世紀からサヴォイア家の避暑地だったジェッソ峡谷の深部、アルジェンテーラ自然公園の中央に位置しています。温泉センターの最大の特徴は、センターの南東 部に作られた傾斜の緩やかな階段状の培地で栽培された水草で、これを使ってリウマチや皮膚病のセラピーが行われます。センターではさらに、泥、硫黄泉、吸 入、ミスト、マッサージ、指圧など様々なセラピーが行われています。

テルメ・ディ・ボニャンコ
ボーニャ川が流れる緑豊かな谷の中にあって、クリやモミの林に囲まれたテルメ・ディ・ボニャンコは、標高700m という高度と冷涼な気候、そして素晴らしい自然環境を特徴としています。1863 年にある羊飼いの少女によって発見された源泉は塩分が豊富なオリゴミネラル水で、サン・ロレンツォ、アウソニア、ガウデンツィアーナという3つの泉から湧 き出しています。消化器官、肝臓、胆管、慢性胃炎に効能があるとされるこの源泉は、ミスト、アエロゾル、水浴、飲用、アルカリ吸入、ハイドロマッサージな ど様々なセラピーに使われています。センターにはシャワーとソラリウムを備えた温泉プールも併設されており、水温は常に32 度に保たれています。

テルメ・ディ・クロード
深い森や広い高原など手つかずの無垢な自然が残るチステッラ山の山麓に位置するテルメ・ディ・クロードは、「アンティゴリオ峡谷憲章」に記録されている通 り、1500 年にはすでに存在していました。4つの源泉から湧き出る水は様々な効能があるとされ、公園内にあるパビリオンで試飲(無料)することが可能です。

山岳地帯では、チーズやピエモンテ牛などの肉が特産物として有名です。木の製品や陶器、フィログラナと呼ばれる細い金の細工製品など、職人たちが作る技術の高い商品も購入できます。

アウトレット

ザ・プレイス・ラグジュアリー・アウトレット
ビエッラ近郊のサンディリアーノにある、エルメネジルド・ゼニア、アニョーナ、グッチ、セルジョ・ロッシ、ラ・ペルラ、ヴォガート・サングラスなど、イタ リアの一流ブランドを集めた1500平方mのアウトレット。メンズ、レディースのファッション、靴、アクセサリーの幅広い品揃えに加えて、外国人観光客の ためにマルチリンガルのスタッフが揃っています。チャイルドパークとピエモンテ料理レストランも併設されており、ゆっくりと「ラグジュアリーなエクスペリ エンス」を楽しむことができます。

Strada Trossi – 13876 Sandigliano (Bi)
Tel. +39.015.2496199

無休。営業時間 月曜15時~17時 火曜~日曜 10時~19時

http://www.theplaceoutlet.com/