遠い昔にシャルルマーニュ大帝がロンゴバルド族の軍隊を奇襲するためスーザ峡谷のけもの道を踏破した時、この60kmのルートを平和的なトレッカーたちが たった1 日で歩き切るようになる日が来るなどとは、夢にも想わなかったでしょう。モンヴィーゾの峡谷で生まれ育った山の民たちは、かつてウェルギリウスやダンテは もちろん、カンタベリー物語を著したジェフリー・チョーサー卿ですら登攀不可能と断じた険しい山頂を、登山家のパーティが次々と征服して行くのを見守って 来ました。ピエモンテはそんな顔も持っています。いくつかは4000mを超えるアルプスの高峰、美しい沢の流れ、自然の中に溶け込んだ小道、そして16 万ヘクタールにも及ぶ地域をカバーする自然公園と自然保護区のシステム。ピエモンテが提供する山岳スポーツの世界は、トレッキングから馬術、フリークライ ミング、1 日がかりのエクスカーションまで、非常に幅広いものです。ヨーロッパ8 カ国にまたがるアルプス山脈を網の目のように覆う峠越えのルートのうち、ピエモンテ州内にある峠道はおよそ60 に上っており、それぞれが素晴らしい景観とその土地土地の文化との触れ合いをもたらしてくれます。ピエモンテはまた、サイクリストにとっての聖地でもあり ます。世界最古の自転車ロードレース、ミラノ・トリノが初めて行われたのは1876 年のこと。今も、ファウニエーラやコッレ・デル・アニエッロの峠越えは、ジーロ・ディタリア(イタリア一周自転車ロードレース)で最も厳しい山岳コースに 数えられています。マウンテンバイカーのためのフリーライド、ダウンヒル、トライアルなどのコースも、山岳地帯には数多く整備されています。
サッカーがイングランドからイタリアに輸入された当時、その中心地となったのはピエモンテでした。州都トリノは、1897年にユヴェントス、1906年に トリノという2つのクラブを生み、1898年3月15日にはこの地でイタリアフットボール協会が設立されています。1900年代初頭には、「ピエモンテの 四角形」と呼ばれたヴェルチェッリ、ノヴァーラ、カザーレ・モンフェラート、アレッサンドリアという4つの都市のクラブがイタリア選手権の主役を演じまし た。サッカーは早い時期から人々の心をとらえ、20世紀前半にはすでに国民的なスポーツとなりました。その中から、ボレル、ピオラ、ガベット、パローラ、 ボニペルティ、ベッテガ、リヴェーラといったピエモンテ出身の歴史的な名選手も生まれてきたのです。
今日、ボールと戯れて楽しむために、プロサッカークラブの一員となる必要はありません。アマチュアの大会を組織しているグループに所属するか、単に友人と 誘い合ってグラウンドやフットサル(イタリアではカルチェットと呼ばれます)のコートを予約するだけで十分です。
太陽がアルプスに眩しい陽射しを注ぐ中、新雪の上をゲレンデの外に飛び出し、夜になればロマンティックで美しい照明の下で滑走を楽しむ。毎年ピエモンテ州 にある53のスキー場を訪れる人々に対し、「白い銀河」はスポーツとリラックスの機会だけでなく、地元の料理やワイン、食材を通じてアルプスのそれぞれの 地域の伝統と文化を知る機会も提供しています。2006年トリノ冬季オリンピックの会場となった地域は、冬山の様々な楽しみ方を提案します。
スキーはもちろん犬ぞりでのエクスカーション、ヴァルセシアの氷結した滝のクライミング、そしてスノーボードでのフリーライディング。純粋に山を愛する人 々には、大衆的な観光ルートとはまったく異なる、ヘリスキーでしかたどり着けないヴァルセシアやスーザ渓谷の山頂や氷河が待っています。スタインベックや ユキウサギの生態を知りたいなら、冬用のトレッキングシューズとかんじきを履いて雪の中を歩くだけで十分です。
ピエモンテ州は「ピエモンテスキー情報Infoneve Piemonte」という、州内のスキー場の情報(リフト、ゲレンデ、積雪量)をEメールかSMSで提供する情報サービスを行っています。
ピエモンテ州はゴルフを愛する人々にとってもぴったりの場所です。この地でヴァカンスを過ごす理由は山ほどあります。その中から主要な10 の理由を挙げてみることにしましょう。
40 を越えるゴルフ場:ピエモンテ州全土にバランスよく分散したゴルフ場は、初心者からエキスパートまでどんなゴルファーの要求にも応えるバリエーションを持っています。
イタリア最良のゴルフ場:最も権威あるゴルフ雑誌が選んだイタリアのゴルフ場ベスト10 のうち、なんと5つがピエモンテ州に位置しています。
余裕を持ったプレーが可能:満員になることがほとんどないため、スタート時間を自由に選べるだけでなく、カートを使って急ぎ足でラウンドする必要もありません。ピエモンテでのゴルフは「自然の中でリラックスして楽しむスポーツ」なのです。
バラエティに富んだ景観:ゴルフ場からこれだけ多彩な景観を楽しむことができる場所はピエモンテ以外にはそうありません。マリッティマ・アルプスの山並 み、ぶどう畑に覆われたランゲの丘陵から、美しいマッジョーレ湖まで、ピエモンテはあらゆるタイプの自然の中でゴルフを楽しむ機会を提供します。
ステイ&プレー:宿泊施設を備え滞在しながらプレーを楽しむことができるゴルフ場も15 あります。最近完成した現代的なホテルから、古い荘園領主の館や農家を改造した趣あふれるホテルまで。ゴルフ三昧のヴァカンスを過ごすのに、これ以上の選 択はありません。
2006 年トリノ五輪の遺産:オリンピックの開催は、トリノを中心とするピエモンテに質の高いホテルを数多く誕生させました。ゴージャスな高級ホテル、エレガント なプチホテルから上質なB&B、そしてアグリツーリズモまで、どんな趣味、どんな予算にもマッチした宿泊施設が揃っています。
ゴルフ&ワイン:いくつかのゴルフ場の周辺や内部では、バローロ、アスティ・スプマンテといった有名なワインを生産しています。ラウンドの最後、第19 ホールはしばしば、赤いレンガの壁で囲まれた田舎家の中でのプレーになることでしょう。そこではワインだけでなくチーズやサラミなど、地元特産の食材を味 わうことができるはずです。
ゴルフ&トリュフ:トリノのサローネ・デル・グストからアルバの白トリュフ祭まで、秋になると州内では数多くのグルメ関連見本市が開かれます。白トリュフ 祭の期間中、アルバ周辺のゴルフ場では、貴重な白トリュフを賞品としたトーナメントがしばしば開かれています。サローネ・デル・グストが開かれるトリノの リンゴット見本市会場からは、半径20km 以内に5つのゴルフ場と2つのゴルフホテルがあります。
ゴルフ以外の楽しみ:ピエモンテで過ごすゴルフ・ヴァカンスは、芸術と文化に満ちた都市の魅力を体験する機会でもあります。活気に満ちたナイトライフか ら、ブランド商品が信じられないほど格安に購入できる大型アウトレットやトリノの高級ブティックでのショッピングまで、ゴルフ以外にも楽しみは少なくあり ません。
海にも山にも近い:ピエモンテ南部のゴルフ場からなら、リグーリアのビーチまで車でわずか1 時間足らずの距離です。
バランス感覚と均整のとれた身のこなし。馬術のエッセンスはデストレッツァ(親和性)という一言に凝縮されています。乗馬をアクティビティのひとつとして 用意しているアグリツーリスモの増加などもあり、馬術はピエモンテ州で年々盛んになっています。グラン・パラディーソ、クレアのサクロモンテ、カンディア 湖、マンドリアなどには、乗馬によるハイキングコースが整備されています。カナヴェーゼ地方のバイロには、ロランダ・クオーター・ホーセズという最新の施 設があり、ウェスタンスタイル(米国式)の乗馬レッスンを受けることができます。また、ピネローロには有名な乗馬スクールがあります。ここでインストラク ターを務めていたフェデリコ・カプリッリは、1902 年にトリノで行われた第1回乗馬コンクールで、愛馬メラーポと共に2.08m という高飛びの記録を作りました。
ピエモンテ州には、淡水でのスポーツフィッシングに関するあらゆる環境が揃っています。森の中を流れる小川、平野を流れる大河、小さな池や沼、そして大き な湖。それらすべてを、山脈から丘陵、そして平野に至る雄大で豊かな自然が取り巻いているのです。ヴァルセシアでは、ちょっと歩いただけですぐに標高 2000mに到達し、リマスコ湖のようにあまり知られていない、しかしこの上なく美しい湖に巡り合うことができます。
ピエモンテ州はスカイスポーツ施設が非常に多いことでも知られています。小さな空港や離陸の練習ができる土地がたくさんあり、パラシューティング用の施設も有名です。
ピエモンテが豊かなウェルネスを提供する土地であることは、ローマ時代から知られていました。アクイ・テルメ(当時はアクエ・スタティエラエ)に湧く温泉 に治療効果があることを突き止めたのもローマ人でした。その伝統は今も受け継がれており、ピエモンテは現在、多彩な機会を幅広い人々に向けて提案するウェ ルネス先進州となっています。アクイ・テルメのあるアレッサンドリア県をはじめ、アスティ県のアリアーノ・テルメ、クネオ県のルリシア、ヴァルディエー リ、ヴィナディオ、ヴェルバニア県のボニャンコ、クロードには、充実した施設が整っています。ストレスと疲労から身を護り、時の刻む印を消し去って朗らか な気分を取り戻すには、州内に数多く散らばるスパ付きのリゾートを訪れるだけで十分です。リラクゼーション・マッサージのあい間にオルタ湖をボートでク ルーズするのは、きっと素晴らしい体験でしょう。クネオ県のスパでワインやカカオを使ったセラピーを体験し、その効果を実感するのも悪くありません。マッ ジョーレ湖を望むストレーザやバヴェーノのウェルネスセンターで、ヴィッラ・ターラントの庭園に咲くツバキやアザレアの花のようにリフレッシュすること だってできるのです。